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アニメのカット制作、動きをどう考えて映像設計するか。

●アニメのカット制作、動きをどう考えて映像設計するか。

どうも井上ジェットです(@jetinoue
細田守監督がインタビューで「ボクは元々アニメーターだから、カメラワークはあまり好きではなく、カメラはあまり動かさずにフレーム内で作画で見せるほうが好き。絵コンテを描くときにも原画さんが描きやすい(描きたくなる)ようなレイアウトを目指している」

というようなことを言っていました(直接聞いたかもしれません)。大地丙太郎監督もご本人の自著の中で、「原画マンが絵を描きたくなるようなレイアウトになるよう絵コンテを描くときには意識している」と書いていたと思います。

原画さんが描きやすいカットの一番は、カメラワークのないFIX(フィックス)の構図です。
カメラワークがあると大判の紙を使ったり、シートにカメラワークのためのタイミングを考えなくちゃならずこれが大変なんです。ガンダム関係のアニメなどは密着しながらガンダムがフレームインしてからの爆発しつつ交差。みたいなカットがありますが、ああいうのがもっとも大変です(ごめんなさい)。
FIX構図でぺらぺらめくりながら、動きの妙を作り上げてゆくカットが描いていても一番面白く。そのアクションが変化に富んでいて、キャラデザインが動かしたくなる衣装やデザインになっていたりすると、面白く描けるわけですね。

※アニメ用語に関しては、こちらのカメラワーク大辞典などを参照してくださいませ。

動きが作りにくい会話中心のカットが増える昨今なので、制作費と関連付いているTVシリーズでは全編にわたって画作りで見せてゆくというのは難しい状況はあります。それでもアニメなので、絵に声がついて魅力あるカットが塵も積もれば魅力的な山となるわけですね。費用対効果を考えつつ力の入れどころ抜きどころも作るのが監督や絵コンテやシナリオの仕事の中にはあります。

・描きやすい(原画さんのモチベUP)
・処理がしやすい(演出コスト)
・カット構成的にも良い(無駄なカットなどがなく、全体の流れも良い。音楽との調和も良い)

という三拍子を揃えるのが画面設計をするためには良いわけです。
(作画枚数の話は置いておきます)

アニメ作るときに、カット内でキャラがまったく動かないとエラーみたいに見えちゃうので手だけ動かしたりとかいろいろやるわけですが、劇場だとそもそも枚数を使えるのでカット構成自体が動きがあるようにしておくわけで、シナリオからなにから技術に差はあります。

細田守監督だけを褒め称えるわけではないですが、「時をかける少女」はそういった意味では、かなり最高の絵コンテができているなあ。なんて思ったんですよね。



「進撃の巨人」…とくにSEASON1の、第1話とか前半のあたりは、逆にほぼ3Dのカットでカメラワークもぐるぐると動き。異常に力が入ったカットがありました。「君の名は。」で彗星が流れる3D的合成のカットもやばいですね。
一部の凄いカットが全体のイメージアップに繋がるのも、効果的ですね。それは、一部でいいと思うんですよね。割合の設計も大事というところですね。

●昨今増えてきた3DCGのアニメ・より効果的な絵コンテとは

昨今では3DCGのアニメも増えてきました。サンジゲンさんの「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」はセルルック3Dアニメで、しかもよく映像を見ると、3Dモデルの見せ方を工夫しているのがわかりました。カメラの回り込みなどは禁止していて、PANなどにもルールを設けているように思いました。そうすることで3DCGキャラの破綻した絵ができないようにしていると感じました。マンガの『ドラゴンボール』には、『あおり』アングルがないんですが、これもキャラクターのデザイン的な見せ方を鳥山明さんが工夫しているのだと思ったわけです。



3Dシーンの絵コンテを描くことはよくあるし、TVアニメの3Dアニメの絵コンテも描いていたりするわけですが、どういう風に絵コンテを描いてゆくと、より効果的なカットシーン制作に繋がるかを毎日のように考えています。

日本の制作現場は「絵コンテに沿って作る」というイメージがまだまだかなり強いのですが3DCGのカット制作においては絵コンテがないほうが良いんじゃないか。と思うこともありますね。もしくは日本の絵コンテとは別物のやり方が必要と思います。絵コンテのようにしようとして、苦労やストレスを生み出してしまうことがありますから。

絵コンテとは「絵のコンティニュイティー(連続性)」という意味です。英語にするとStorey Boardというわけですが、中国語では絵コンテのことを「分鏡」と書きます。中国では全体をカット分けしたもの。というような意味にも感じられますね。

カット単位で考えたときに、手付けでアニメーションを作るなら「手だけ動かして口パクさせる」みたいなカットは楽に作れますがそういったカットは増やすべきかどうかは悩みますね。

引きの絵からクローズアップへ繋げるカットのとき、一番簡単な方法はその中間的な寄り具合のアングルでカメラを動かさないということです。つまりカメラの動きは止めて妥協した構図を作ることです。でも画面内にキャラの数がたくさん映っているとその分アニメーションが必要なので工数がかさみます。こうった悩みが日常的に発生します。アニメーターの技量や得手不得手がありますからリソースに会わせて映像制作のリスク配分も考える必要もありますから工夫は必要です。

セルアニメだと口パクは、撮影さんがキーを設定してくれるので分業ができていますが3DCGだとアニメーターさんは口パクもやらなくてはなりません。あいうえおだけを単純に打っていればいいわけですが、実際には感情はつねに入るので表現を気にすると限度がありません。これも将来の課題でしょう。

背中などで喋らせたり、空を写した「捨てコマ(捨てカット)」を入れたり、俯瞰ショットなどを入れたり、工夫と効果を考えながらやっていくわけです。いやはや、3DCGのアニメは工夫が大変ですな。トップから末端までビジョンを共有してゆくことが大事です。

3DCGは空間の現実感が繊細に伝わってくるので、すこしリアルになってゆくと、たちまちノイズ動作も必要になってくると思います。棒立ちのキャラにも警戒です。



たとえばこういった書籍を見ると(表紙だけ見ても想像はつきます)、マスターショットとかキーとなるレイアウトといえば良いでしょうか「特徴的で印象に残る画」をカット内で成立させて、その画を見せるために周辺の画を紡いで行く。という考えがあればコストのかからないカットをどう描くかは見えてくると思います。アペタイザーがあってメインディッシュが引き立つという考えです。アペタイザーからステーキが出てきたら、メインでまたステーキが出てきたら、もうお腹いっぱいですからね。デザートみたいな見せ方を変える必要はあるでしょう。

こうしてはたして結論の出ないブログとなりましたが、つきましては、そういった3DCGでのアニメ表現を作る側で気にしてる人たちの飲み会とか懇親会とかをやりたいと思いました。

以上。


追加の余談ですが、
京アニのアニメ「氷菓」の第一話で千反田えるが登場するカットは、とても印象的でしたね。3D的なカットで作画枚数を使っていましたが、原画的には中割で済ますことができているようなカットです。どうやって原画を処理したのか、わたし気になりまして、考えてみましたが、京アニがレイアウトシステムならば、レイアウトを数枚書いてから3Dレイアウトを出していって3D動画連番にあわせてデジタル動画の作画ではないかと思いました。
ベテラン原画さんと演出さん、3Dのコンビネーションがあってできることですね。寄り作画なのに、溜めツメ感が出ているのもとても印象的でした。手書き動画行程ではイレギュラーな溜めツメができるのが上手に行かされている印象でした。



こうして過去の事例ばかりをリファレンスとしていると新しい見せ方を絞り出すことができなくなります。ほどほどに。レイアウトは自分で絞り出す。

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