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映画「おもひでぽろぽろ」はナゼ面白いか。分析をしてみた。



どうも井上ジェット(@jetinoue)です。
大人になるとジブリの「おもひでぽろぽろ」が、やたら面白く感じる。
初めて見たのは学生時代だったと思うけれど、その頃も何かの面白みは感じていたと思う。

なんでおもしろいのでしょう。どうして面白いのか。
どういう構造になっているのか。
分析してみたくなった。アニメの絵の魅力などとは別の、ストーリーの構造の観点で物語を追いながら読み解いてみた。映画の巧みな構造を紐解けたと思います。


◇はじまり

物語のはじまりは、大人のタエ子が10日間の休暇を取るという会話を上司とするところが最初です。そしてすぐに小学生のタエ子のシーンに切り替わります。
試聴動機としては『10日間田舎へ行く』という導線がある。
「おもひでぽろぽろ」というタイトルから、この10日間に、人生における何かがあると期待するのだろうと思う。

面白そう。

10日間の休暇を取った瞬間に小学生のタエ子の夏休みの思い出もスタートする。夏休みや、休暇というものに、大きな期待はするが、期待のような大きなことは起こらない。現実に戻ってはじめて3色スミレ風呂も楽しみに感じてくる。タエ子の夏休みと同じく、期待と現実の幅から、物語の着地点はここですよ。と、視聴者に伝えることを、映画の冒頭で行っている。大人のタエ子が田舎への理想を語りながら、会社のシーンを見せたり、お見合い話をしているのがそれだ。さりげなく物語のゴールは提示されている。

行くぞとなる。

お見合いを断ってまで田舎へ行く。タエ子はまだ未婚とわかる。お見合いを断ったのは、さりげない会話の中で語られている。

人生とはどんなものか。人との出会いがあり、恋愛や結婚があり。10日間の間にそういうことが起こるんだろうな。なんて想像はするのではないか。それがこの映画の導入だ。映画を見ればそういうシーンがやってくるだろう。観客はそう思う。

小学生のタエ子が、大人になった姿は出ているのだから。どういう子供時代を送ったから大人のタエ子さんができるのかを学ぶような感覚もある。


◇パイナップルのシーン

情報が少ない時代で、パイナップルの食べ方がわからない。寡黙な父親がタバコを吹かして、タエ子がマズいパイナップルを食べる。その間の長さ。慌ただしい時代へ、落ち着きを伝えたいのか。この辺りの表現が高畑監督のエゴなのか何かはわからない。タエ子がやせ我慢してでもパイナップルを食べる。それを伝えるのに必要な間だったのか。描写がじっくりだ。このくらいの間が必要だと、絵コンテの時点では思ったがしかしアニメーターの描いた演技があまりにもすばらしいものだから十分伝わったしまったののか。結果的にはいつまでも見ていたいと思うシーンになった。二つ目のパイナップルをかじるところで、このシーンは切り上げてもよかったんじゃないかと思うが、このシーンはバナナと比較してから終わる。

美味いと思っていたものが、美味しくなかった。認めたくない。

その“感じ”を伝えるのに必要な時間を用意したのだろうか。理解ができなかったパイナップルの味、甘く美味しいと思いたかった。食べてみて、はじめてわかった。もやもやしたものが、食べて解決するはずだった。しかしもやもやして終わった。パイナップルは本当に美味しくないのか?


酸いも甘いもあることを示し、ビートルズやミニスカートの話題へ移る。

「あの日の思い出を、いろいろ出すよ。」

そんな映画の内容を示唆しているのではないか。パイナップルのシーンを丁寧に描写することで、タエ子の思い出をしっかり描き、次はどんな出来事が来るのだろう。楽しみにはなる。


◇タエ子の旅の目的とはなんだろう

子供時代のタエ子だけ描いていたならば、ゴールの見えない退屈な映画になるかもしれない。大人のタエ子が、子供の頃の満たされなかった夢を、大人になって代替消化すべく田舎へやってくる。やりきりたいことはどんなことか。やりきることができるのか。そんな風に思ってくる。

学級会で男の子を論破する谷ツネコさんのように、はっきりとした考えで行動したかったし、もやもやした恋愛をはっきりさせたいし、自分の行きたいところへ、自分の意志のまま行きたい。達成できなかったもやもやしたゴールを、達成するために10日間、田舎へ行くのだ。

それがタエ子さんが物語でやることだった。

そんな面白さになっている。

タエ子は小学校の頃の思い出を思い出しつつ、山形での大人の生活と照らし合わせてゆく。ただ、紅花を摘みに来たんじゃなく深い思い入れがある、心がじんわりと深まるような10日間に仕立ててゆく。その10日間を深く感じさせるために、開始50分間は子供のシーンがしっかり描かれている。田舎訛りの強いトシオさんが現れて、こんな田舎っぺの男にも、タエ子が偏見無く交流ができるとわかる。自分の意志で決めた10日間の旅は、頭から思い通りに行かないが、子供の頃と違って、そのイレギュラーは理解の範囲の内でワクワクする出来事だし、すべきことをするチャンスは消えたわけではない。目的達成のために最初から飛ばしてゆくと決めている。


◇タエ子の旅の意志

子供の頃、上手く行かなかったいくつかのことを消化したい。トシオであっても、それを消化しなくちゃいけない。消化できる。そう思ってトシオとの交流がはじまる。だからトシオに昔話をしなければならなかった。自分の子供の頃の話をトシオにする。トシオが理解をするまで、タエ子はきちんと話をする。それがタエ子の旅の目的だったからだ。トシオに話をすることで罪滅ぼしをしているようなものだ。わがままだった子供の自分が許されるものだということを、はっきりさせたかった。

田舎がなかったタエ子が知りたかったことも、解決させたい。トシオが田舎がどういうものかを教えてくれるように、タエ子はどんどん、トシオから田舎の話を引き出してゆく。そして納得してゆく。東京のタエ子が、知りたかったことがわかる。旅の目的が次々と解決してゆく。

解決すると、すこし田舎への不満も語っていたりして、シナリオの巧みさを感じる。

本当に思い出したくないことは、人にも言いたくない。演劇のエピソードはそういうものだったのではないだろうか。タエ子は自信を持ってやっていた演劇の夢が挫かれた。それは本当は思い出したくない。しかし、その話もしてしまったのは、人間味ある広大な田舎に触れてそれが許されたのだろう。話してしまってもいいかなって。


◇ぼんやりしていた、タエ子の本当の目的は。

お互いが慣れてくれば、でしゃばってくる。タエ子が山形へ来た理由は、子供の頃できなかったことをやるためだったのか。本当は、結婚相手が見つかったらいいなという考えも少しはあったのではないか。核心に触れるような出来事が、ばあちゃんから発せられる。

もしもトシオさんがもう少しイケメンだったなら、タエ子は迷ったのか。トシオが田舎っぺだから、タエ子は迷ったのではないか。それは、最後まで見るとその通りとわかる。タエ子のセリフを聞けば、やっぱりタエ子は東京のプライドみたいなものがあるということがわかる。田舎っぺのトシオが夫じゃ格好悪いという気持ちはあったのだろう。

だからハナタレ阿部君のエピソードを思い出す。

田舎っぺのトシオを偏見で見てはいけない。しかしトシオと結婚は…よくわからない。まだわからない。本心、トシオはOKか、やっぱダメか。考える。考えまくる。

でもやっぱり田舎っぺは、嫌だ。

タエ子の中でそうなったに違いない。トシオ、振られちゃってる。とても可笑しい。思い出の中で、阿部ちゃんがツバ吐いて去って行くのを見て、マネをする。タエ子は田舎っぺという生物をまだ理解できていない。タエ子は理解できないモノや納得できないものがあれば、すっきりさせたい。タエ子にとって田舎男は理解できなくてもやもやする存在なのだ。静観しているにはいいし、握手するのはいいが、結婚して一緒になるなんてやっぱ無理。

そう思った。

将来の夫婦生活を想像するようなシーンが1箇所ある。そのシーンはヨーロッパみたいなところで牧草を運ぶ馬車に乗るシーンだ。どう考えても強引に妄想したシーンで、「私の思うシーンは、トシオさんじゃ実現できない」という感じだ。


タエ子のすべての謎は、片付いた。

タエ子にとって、田舎は謎だらけだったが、私の想像する理想とは違ことはわかった。だから、帰ることにした。そう。帰ることにしたのだ。次の年の旅行はヨーロッパへ行こう。田舎はもういいや。そんなことをじーんと考える帰りの汽車だったんじゃないかな。


◇しかし

タエ子は子供の頃は田舎へあこがれたものだが、もう田舎のことはわかった。それならヨーロッパへ行ったら、何かあるというのか?いい加減、私はもう大人。夢と現実の区別くらいつけなくちゃ。トシオさんのことをもう一度考える。田舎への理解も深まった。プライドを優先してこの先何があるというのか?

ない、なにも起きない!

すべての答えを出すべきなのに、1つだけ解決していない答えがある。一番納得がいかない。
これが最後のタエ子の答えだった。

お見合いを断ってまで田舎へ行った答えも、これだった。
タエ子は、電車を一駅で降りて、折り返して戻る。トシオさんが車で迎えに来る。

タエ子の答えはすべて出た。
ほんと、すごいシナリオでした。最後にタエ子が引き返したのは、視聴者サービスだったのかなぁ。タエ子が27才ならば、現実なら東京へ戻ってしまったかもしれませんね。しかし都会に疲れているというセリフもあったので、やはり田舎へ行く決意はできたのでしょうね。映画の公開は1991年です。東京と田舎の関係は、ずっと変わらないんですね。

原作本も気になりますね。

  
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「曇りの日と、雨の日と、晴れと、どれが一番好き?」の答えが「曇りの日」で同じだったことにタエ子はとても喜びます。気になる男の子と同じ答えだったこと以外に、男の子というもやもやした謎の生きものに女の子と同じ答えの部分もあるんだとわかって一層嬉しかったんだと思いました。

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| - | 2017/07/26 11:55 PM |

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