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ノルシュテイン監督のワークショップに行ったアニメ演出家の話。

この日記には、ユーリ・ノルシュテイン監督、コ・ホードマン監督、山村浩二さんなどが登場します。

短編アニメと商業アニメを両方やっている人間。井上ジェットは、商業アニメーションと自主制作アニメーションを両方やっているというちょっと変わった人かもしれません。短編アニメについてもとても好きです。
子供の頃からいろいろな映像や変わったものがすきでいつの間にかアートアニメにたどり着きました。
NHKの番組もとてもよくみていて、山村浩二さんがフレデリック・バックの「木を植えた男」の話をしていたりガラス板の上で油絵を動かしてアニメを作っていたのに影響されて、山村さんが通信販売でVHSのビデオを売っているときに、内容がわからなくてもとにかく見たいと「遠近法の箱」を買ったりしました。
そのときに「バルッタザールってどこから名前を着想したんですか?」とか聞いたりしたこともありました。
その後もこっそりとカナダ大使館のイベントにおじゃまさせてもらったり、コ・ホードマンさんのイベントに行ったりと影ながら勉強させてもらっていました。


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 コ・ホードマン監督に「写真を撮っていいですか?」とツーショット写真をお願いしたら。
ホードマンさん「はいいいですよ。じゃあカメラを貸してください。どなたとどなたの写真を撮るのですか?」
と答えられて、アカデミー賞にノミネートされるような人はやっぱすごい…と思ったことがありました。(ツーショット写真は撮ってもらえました)

コホードマン
※右がホードマン監督です。左の頭がボンバーなのがボサボサ頭のまま行った私です。

 当時は、学校でアニメを学べるところは代々木にある普通のアニメの専門学校しかなく、こういった機会はとても貴重でした。
 何年も前に伊藤裕美さんのお仕事を手伝わせてもらっていたことがありました。イベントに協力してその後もいろいろお手伝いをさせてもらいました。カナダアニメーションエフェスティバルの第一回のチラシなどを作ったのはなんと私だったりします。そういった機会もありたくさんの海外のアニメを見る機会がありました。伊藤さんは当時はまだあまりなかった海外からのおもしろいアートアニメを日本に紹介することをずっとやっていました。

そしてカナダのアニメを見ていて思ったことがありました。
カナダのアニメは絵がとにかくよく動く!動いているのがとてもおもしろい。
Cordell Barker監督のストレンジインベーダーズと
http://www.youtube.com/watch?v=n3IqAXhI2Eo
デビット・ファイン監督の「ボブの誕生日」はそのとき何度も見ました。
http://www.youtube.com/watch?v=k-58TB6-Sy0

アニメート(命を吹き込む)という意味がとてもよくわかりましたし
絵が動くことのおもしろさを感じたときでした。

それから井上ジェットは、2002年に阿佐ヶ谷のアートアニメーションの小さな学校でユーリ・ノルシュテインさん本人直々の、数日間にわたって開催される本人のワークショップがあるということを聞きつけまっさきに参加しました(「ノルシュテイン氏による2日間のワークショップ」)。運がよかったことに、ノルシュテイン監督は「狐と兎」で使った本物のウサギの素材(カットアウトに関節をつけたもの)などを持ってきていて教えてくださいました。これはとんでもなくレアに機会になるに違いないと感じたくさん質問しました。
私「霧に包まれたハリネズミの、蛍はどうやっているんですか?」
ノルシュテイン監督「君はCGばかり見ているから、そんなこともわからないのだ。あれは、これこれこうやったのです」
私「撮影台の脇から、ペンライトをセル画に当てて撮影すれば”蛍”になるって…すげぇ」
とか。ぶしつけな僕は毎日質問していました。
丸い形を動かすことで、風船にもなればボーリングの玉のように重くもなるなどの解説。とても貴重でした。
「ノルシュテイン監督と一緒の写真を撮らせて下さい!」
ってお願いしたら、「ダメ!あなた自分一人だけそういうことをしたいというのはいけないのです!」
と通訳の人に怒られたりしました。。。
ある日、僕はノルシュテイン監督に、自分が作った絵本を渡しました。その次の日にもワークショップは続きました。朝、一番最初にノルシュテイン監督はこういいました。「昨日私に本をくれた人がいます。私はいろいろな話を読みますが、絶対にくだらないものを作ってはいけないんだ」と、言われました。まさしく私が本を渡して怒られたのです。
後日談ですが、ノルシュテイン監督はふゅーじょんぷろだくとの才谷さんに、教育をしなければダメだ!と日本のアニメ作家へもの申すことがあって、アートアニメーションのちいさな学校ができたということも聞きました。

その頃、CGアニメの演出をやっていた僕は、CGのディレクションをしながら
ノルシュテイン監督の技術に触れてアナログ表現の超パワーに圧倒されたのでした。

ムチャなドキュンな私はへこたれずにがんばっております。
今となっては、商業のセルアニメの制作にも関わらせていただいています。
商業アニメでは、20分という映像を、効率的に作る必要がもとめられます。商業アニメでは、顔のパーツは静止画で口や目だけ動かすという(トメ口パク)手法がよく用いられます。それを使わなければならない意味はとてもよくわかります。本当は全部動かしたくても、ノルシュテイン監督が「外套(がいとう)」を作るように長い時間をかけていては、多くの人が食べていけなくなってしまうからです。どのくらい効率良く作るか、どれくらいこだわるか、塩梅が大事だなぁと思ったりしました。

しかしまた、別のところでは、「機動戦士ガンダム0083」の監督をした今西監督のような制作スタイルも耳にします。今西監督は、作品作りのためならばなんでもやるような活力で監督されていると感じることがありました。剛力なディレクターといいましょうか。昨今の進撃の巨人のような作り方といいましょうか。そういう作り方も、なるほどと思うものもあります。(深くは語りません)

井上ジェットはそういったアニメーション表現や作り方を経験してきてより効果的で効率的なアニメーションの力の入れかたをとても意識するようになりましたし。力業という意味も理解しました。ムーミンのような作品もとても好きですし、チェコアニメではポヤルはとくに好きです。

商業アニメでも、自主制作アニメでも、今回は、ここには力を入れよう。とか、このエピソードの意味を考えると全体の節々におもしろみをちりばめて行くのがいい。とか。ネコリーマンはコメディだからスピーディーに作りゆるっとしたクオリティーでも効果は得られるとか。この話はコメディだけれどイケメンのキャラクターが視聴者の需要になっているのだからかっこわるいことをさせるときでもつねにイケメンでなければならない、とか。いろいろです。
2012年のころは、まだ迷い多く物作りをしていたと思います。
2013年になり、最近は迷いが少し減ってきました。

※後日加筆しています。

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